ねぇ、ママ
」のレビュー

ねぇ、ママ

池辺葵

足先がキュート

ネタバレ
2023年2月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 池辺先生初めて読んだ。人物の全身の絵のフォルムがなんか好き。足先がきゅっとすぼまるような感じで、胴体がまるっこい感じで。特に走っているときの後ろ姿の感じが、ふわっと宙まで飛んでいきそうでなんか好き。
タイトル通り、母親が主軸にある短編集だけど、全体的にあんまり母母してない。母親そのものはほとんど出てこないお話もある。母親バンザイ、母親ってすばらしいみたいなのはまったくない。語られていることは重いんだけど、セリフや言葉は少なくて、絵で語りかけてくる。作品内容のところに、「それでも母親はすべての子どもたちを照らす優しい光」と書かれていたけれど、この短編集ってそういうことが言いたかったのだろうか。そういうふうには私には感じられなかったけれど、そうなのかな。
「stand up」というひきこもりの男の子の話、きれいで圧倒的な大自然の風景に生きててよかったと思い、まったくの赤の他人とのちょっとした心のふれあいになごみ、自分を受け入れ待っていてくれる人のもとへと帰っていく。何も解決してはいないけれど、何かが彼の中に育まれた気がする。すごく好き。
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