このレビューはネタバレを含みます▼
軍人と技師の子とのファンタジーBL。
表紙の絵が素敵で、ファンタジー要素が面白そうだと思って読みましたが、残念な部分が多かったです。
まず、登場人物がとにかく多い。そんなに長いお話ではないのに、名前を覚える前に次々と新しい人が出てくるので、誰が誰だか分からなくなってしまいました。色々な人を登場させたいなら、まずはある程度の人物で話が落ち着いてから追加させる形でないと、内容も入ってこないし、物語に集中出来ないと思います。
そして、路線が不明確です。作者様はBLを描きたいとのことでしたが、その要素は少なく、ファンタジーな世界観を描きたいのか、異世界での国同士の対立で戦う男たちを描きたいのか、そこでの身分差の恋愛を描きたいのか、家族愛を描きたいのか。とにかく全ての方向に手を伸ばされていて、描きたいこと、伝えたいことの本筋が迷子です。そのせいか、セリフに説明が多く全体的に文字が多くて、読むのにとても苦労してしまいました。申し訳ないのですが、始めて飛ばし読みをしてしまい、残念な気持ちです。
更には、人物の心理描写が薄く、気持ちが全然伝わってきません。レオが一目惚れなのは分かりましたが、アルはストレートなのにいつからレオを好きなのか。惹かれていく様子などもあまり描かれてなくて、可愛いから好き、程度では感情がついていきません。他の人も同じで、ときめくような展開もないのに急にBL感を出されても良く分からず、疑問符ばかりが残りました。
えちシーンもほとんどなく、これならBLではなく友情や親愛をテーマにしたお話の方がすんなりと読めたかなと思います。今一度、ジャンルの選択から見直された方がより良い作品を作れるのではないかなと感じました。ただ、作者様の意欲や溢れ出る創造力は伝わってきたので、今後の成長に期待しています。