このレビューはネタバレを含みます▼
中学校?の頃に、突然の告白言い逃げ状態で音信不通になり「東京に転校した」とだけ先生が教えてくれた、憂いのある表情と笑顔が綺麗な悠くんを忘れることが出来ず、東京の大学に進学した男前な亮介くん。都会の空の下で奇跡的に再会出来た!と思ったら、違う名前で悠くんを呼ぶおじ様とマンションに消えて行ってしまい……と言う立ち読み部分から、とても個人的なヘキの気配を察知して購入。結果、いい意味でやられたーっ!!(天を仰ぐ)と言うのが率直な感想の逸品でした。悠くんにおそらく闇or病み的な事情が色々あるんだろうな…というのはなんとなく感じてたのですが、それが思いのほか重たくて。そしてそれを知らなかったことは仕方がないことなのに、歯を食いしばるような表情で悲しんで後悔して悠くんのもとに走る亮介くんのカッコ良さたるや。後半の展開が怒涛の畳み掛けになってるのが評価の分かれる所だろうかなと思いますが、私には悠くんがどうしても亮介くんには知らないままでいて欲しくて、恋心や自己肯定感をぐちゃぐちゃに拗らせ自分で自分を傷つけるようなことをしながら必死でひた隠しにしていたせいもあるのかなと思えて、演劇の舞台を観ているような臨場感に似たものが感じられて良かったです。ご注意いただくとするならば、1シーンだけ悠くんが当て馬的ポジションのおじ様といたしている描写があるのと、悠くんの家庭の事情がなかなかにエグいこと。あとは亮介くんが女の子にモテている描写があること…の3点ですかね。と言っても、亮介くんは女の子に全く興味を惹かれてないのは見たらわかるし、おじ様は蓋を開けてみると二人に対して背中を押したり護ってくれたりした良き大人だったりするんですが、苦手な方はご自衛を。絵柄と表現が1冊通して丁寧で綺麗なので、重たい展開でも「がんばれ…!!」と応援しながら読める良作です。健気に頑張る男子達がお好きな方にも是非。