白旗の少女
」のレビュー

白旗の少女

比嘉富子/みやうち沙矢

今だからこそ

ネタバレ
2023年3月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 原作を読んだのはいつだったか。
小学生だったか中学生の頃か。
「ガラスのうさぎ」「ひめゆりの塔」などを知った頃だったと思う。
主治医の先生から推薦された本の1冊。


きょうだいが生き抜く話かと思ったときに流れ弾にあたって直裕ニイニイが亡くなる。
そこが米須。
直後の避難中に姉たちとはぐれてしまう。
そこから1人で生きていく富子。
お父さんとニイニイの教えが、その後の富子のいのちを救う。
うさぎのニイニイの出会いと別れを経て、ネエネエたちを再び探して回る。
それは隠れている人には迷惑なこと。
しまいには日本兵に殺されかけて崖から落ちる。
それでも生きていた富子はたくさんの死者をみて死を決意する。
そんなときに父が教えたニガナをみつけて口にする。
苦菜と言うだけあって苦味に水(泉)を探す。
そこで見つけた穴。
戦争前に亡くなったお母さんの味噌汁の匂いにひかれて潜り込む。
そして出会った両手両足をなくしたおじいさんと両目を失明しているおばあさん。
爆撃で生き残ったのかな?
優しい2人とひとときの幸せな時間を過ごす富子。
おじいさんは教職だったかも。
厳しくも正しい言葉で富子を導く。

そんな日々はもろくも崩れさる。
米軍に加わっている二世が投降を呼びかける声が繰り返されたから。
おじいさんのふんどしの前垂れをおばあさんが歯で噛み切って三角にする。
それを棒に括りつけたものを富子に持たせてガマから出るよう伝える。

カットされているけど、原作には富子がガマを出ていく際、おばあさんがおじいさんに何度も「富子はもう出ていきましたか」と聞くシーンがあった。
その言葉を思い出して涙があふれる。
ここからは怒涛に話が進む。
あの写真のシーン、のちにご本人がお話されてました。
兵士が富子さんを前にして歩いていたと後に批判されていたそうです。
ですが、道が合流したときに自分が前になっただけとのこと。
あの笑顔で手を振った理由もちゃんと理由があってのこと。


いまもニュースで戦火が報道されます。
今だからこそ、この話を読んでほしい。
原作も読んでほしい。
そしておじいさんの語った言葉を世界に繋げてほしい。

私の中にもおじいさんとおばあさんは今でも生きています。
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