ロマンティック
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ロマンティック

西田ヒガシ

男の性(さが)

ネタバレ
2023年3月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 西田さんワールドが炸裂です。
これはちょっと不思議な現象も織り交ざった作品。
そういう意味では「夜が終わるまで」の不思議な感覚にも近いです。

元教師の真面目で普通な日本人と、
紛争地帯の反政府ゲリラのリーダーのお話。

生と死が隣り合わせにある戦場のハードモードな展開から始まり、
一般的な甘々BLとは一線を画します。

西田さんの作品は、
社会の枠からはみ出た男が型に囚われず自由に生きて魅力を振りまき、
組織等の中で自制して生きてきた真面目な男の気持ちを揺さぶる作品が多いのですが、
”男の魅力“も”男が求める本質“も、そこ(自由)にあると考えているんだと思うんです。

これも紛争地帯にいるジョンが、自分の生きたい道を自分の意思で自由に生き、
魅力に溢れて、前田の感情を揺さぶります。

前田が見た“日本に帰国&亡命する夢”は、ラストの続きとも捉えられますが、
平和な国に来ても、ジョンはまた戦場に帰りたいって言うんですよね。

そして、パラレルワールド(だろう)描き下ろしの0話も、
軍という”組織の中”で歳をとったであろうジョンが「動け、生きろ」と呼びかけられる。

夢もパラレルワールドも、
”枠の中“にいる男を、生命力と自由の溢れる世界に呼び戻そうとします。

それはつまり、自制して生きてる男全てが、
心の奥底にそういった男としての本質を抱えていると考えてるんだと思うんですね。

で、実際、それは女にはない男特有の本質の一部だと思います。
(これが女っぽい受けが出てくる作品だと、平和な国でラブラブで終わりとなります)

総180ページ(描き下ろし10ページ、あとがき1ページ)
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