明烏夢恋唄
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明烏夢恋唄

朔ヒロ

烏天狗と人間の遊郭ファンタジー

2023年3月5日
生き方に不器用なサラリーマンと人外の烏天狗が幽世で出会う遊郭ファンタジーなお話です。
まず何よりも絵が綺麗です。烏天狗は妖怪の一種ということですが、こんなに綺麗な妖怪なんて見たことありません。黒髪褐色、真っ直ぐな瞳、細くて少し骨ばった体のライン、そして羽の美しさ。全てに目を奪われてしまいました。
ストーリーもとても良かったです。急に妖怪が見えることになったことにも、心の在り処で縁が巡ってきた、という素敵な表現で一瞬で納得させてしまうところはさすがでした。そして、何よりも暁人が最高にいいヤツです。無防備だからすぐに人を信じてしまうし、無鉄砲だから考えるよりもまず先に行動してしまうし、無遠慮だから思ったことをすぐに口に出したり首をつっこんでしまう。でも、暁人の言動の端々には相手に対する思いやりや優しさがあるし、彼自身が嘘のない真っ直ぐな男だからこそ妖怪の心の中にも踏み込めたのかなと思いました。暁人のそんな性格が上手くストーリーを回していて、また、上手く周りを巻き込んでいて、読んでいてとても心地良かったです。
えちは控えめですが、とにかく綺麗なエロさが素敵です。翠蓮が羽のコントロールが出来なくなってしまうなんて可愛いエピソードも好きでした。
こんな全ての良さを、タイトルが見事に表しています。漢字のみのタイトルが妖艶な世界観や遊郭という時代ものの良さをきちんと表現していて、音の響きや一つ一つの文字が表す意味で人外ファンタジーを創り上げていると感じました。
暁人と翠蓮、最後は逆柱様の大甘な愛を受け取って、年季明けになり幸せな結末で良かったです。その後の二人がもっともっと見たい。もっといちゃいちゃした二人をぜひ続編でお願いします。
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