このレビューはネタバレを含みます▼
小林明夫は同じ下宿の後輩•大橋海と知り合い、話をするようになりますが、その後、海が街中で男とキスするのを目の前で見てドン引きします。海はちっとも悪びれず、自分はストレートには興味無いからと、ごく普通に接してくるのでした。植物にしか興味が無く人付き合いをしない明夫と、一夜限りの関係を繰り返す海とが少しずつ近づいてゆきます。両親に置いて行かれた子供の頃の寂しさを振り切りたいけれども、父親への思いが捨てられず父親の吸っていた煙草を吸う明夫、初恋の塾の先生との別れの辛さを背負い続ける海、安心できる優しさを求める二人の心の軌跡が、北海道の雪から花の季節と共に描かれます。心情も背景も丁寧に描き込まれたエトランゼシリーズに共通する独特の世界観です。