このレビューはネタバレを含みます▼
尾野先生のあとがき?コラム?を読んでから表紙に戻ると、たしかに正太郎くんを抱き締めてる蓮くんが涙ポロッとこぼしてるんですが、老眼の私は「めちゃ可愛い子をジト目で抱き締めてる、黒髪の子の愛が重たそうだな?」と、涙など気づかず別の性癖(厄介執着)にピンと来て購入。正太郎くんがなんであんな守銭奴というか苦学生やってんのかは最後までハッキリわかりませんでしたが、チャキチャキと明るく朗らかで可愛らしいΩの正太郎くんと、基本ネガティブで色々と思い込みが激しいβの蓮くんという対比が味わい深く、キャラもお話も楽しくかわいらしいオメガバースでした。エッチはあっさりでしたが、ずっと可愛らしかった正太郎くんの表情や仕草が一転してめちゃ色っぽくなるのが何事かと思うくらいエロくて良きでした。最初はイヤな奴でいらんことしそうやなと思った宮田くんや、謎のおじいちゃん紳士も「そう来るのか!」って感じでそこまでお邪魔虫ではなく、個人的にしんどいお話はあんまり読みたくない派閥なのでよかったです。正太郎くん(Ω)の運命になりたいのにβだからなれないって何でだよと、研究も兼ねてずっと悶々と考えていた蓮くんが、Ωの性質に対してのβの特徴で「僕にしか出来ないことを見つけた!」と正太郎くんを護るシーンではちょっとウルッと来てしまいました。可愛らしくて楽しいテンポですが、ちょっと真面目も挟まる緩急の良い作品です。が、オメガバースによくあるヒリヒリや、濃厚なえっちをお求めやと肩透かしかもしれません。少女マンガのようなキュンや、ほのぼのした世界観をお求めの方にはバッチリやと思います。ほっこりしたい時に是非。