ぎこちないけど愛だろう
」のレビュー

ぎこちないけど愛だろう

深井結己

BLのハッピーエンドは大正義。の短編集

ネタバレ
2023年3月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『そろそろ気づけよ』『ぎこちないけど愛だろう』『めぐりくる白い朝』クリスマスイブの日、赤羽の営む喫茶店の前に悪酔いした若い男が倒れています。イブの東京タワーで彼氏から別れ話をされたと言うその青年•湯元の苦しみに自分も心当たりのある赤羽は、言葉でなく身体でのぬくもりで湯元を慰めます。重たいのは苦手だと最初から予防線を張る赤羽に、湯元はどうしようもなく惹かれてゆくのでした。相手の出方を見ながらおずおずと手を伸ばす二人のお話は、出逢ってから付き合うまで、付き合い出してからと併せて3編を楽しめます。二人の恋の成就に一役買った赤羽の従弟のミネが主役となるのが『正直スイッチ』愛する先生の為に自らを偽ることも辞さないミネですが、秘密のスイッチを押されるとデレ全開になるのでした。『赤い糸、絡まれ』長尾一諒は幼馴染の瑶介と偶然再会します。かつて警察官舎に住んでいた二人の秘められた初恋がそこから芽吹きます。ヤクザ絡みのハラハラするストーリーに、初恋、赤い糸、小指とがきれいに繋がる短編です。『あいのともしび』相手を想うあまりに別れを決意した河口は、なんとなく入った居酒屋で見知らぬ初老の男性に話を聞いてもらいます。ほぼ居酒屋での会話だけというほんわりあったかいお話です。
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