水の春
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水の春

黒沢要

DKカップルとその父親と恋人、2組のお話

ネタバレ
2023年3月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 明るくて屈託無く、でもホモと噂される四ノ宮吉野が春原澄に話しかけてきます。なぜ猫を被っているのか?と。春原には秘密があり、それを知られたくないので目立たないようにしている、だからもう話しかけないで欲しいと春原は四ノ宮に告げます。ある日、四ノ宮が女子に告られている場に出くわしてしまった春原は、男が好きなのかと訊かれて四ノ宮が正直に応えるのを聞いてしまいます。自分の気持ちにウソはつかない、春原が好きだと言い切る四ノ宮に春原は衝撃を受けるのでした。絶対に隠し通さねばと硬く張り詰めた春原の心が、四ノ宮の温かい気持ちに溶け出し溢れます。水の春、と言う季語とDKらしいキラキラ感とが絶妙です。『花の雨』春原の父•小説家の春原泉と編集者の結城基とのお話。澄がまだ中2の頃の二人の馴れ初めが描かれます。『春日和』父×基+澄のほのぼの2頁。『六月来る』高校を卒業して2年、ルームシェアをして大学に通う吉野×澄のお話。仲良し二人のほんのりエロいやりとりです。『凌霄花』澄が家を出て3年後の父×基。家々の庭先にノウゼンカズラの花咲く夏、しっとりと描かれる大人の恋の一コマです。
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