ふくしゅうがとけない
」のレビュー

ふくしゅうがとけない

時羽兼成

男性がひた隠している感情を見せられた感じ

ネタバレ
2023年3月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 凄い作品を読んだ気がします。愛とか恋とか…もしかしたら無いんじゃないのかな?この作品の中には。

桜、桔梗、カズマの3人の物語。中学の卒業式に桜と桔梗の関係を黒板に書いたカズマ。その後、大学生になったカズマと2人の再開から始まる冒頭。高校時代に自分はゲイだと自覚したと言うカズマ。始まる3人の情事。(ホントにゲイなのかな?カズマ)

永久に変わらない関係性を求める、桜の病的な神経質さ。桔梗は桜の不安を招かない様に答え続け、身体的にも桜を受け入れ関係を続けています。そこに入ってきたカズマ。3人バランスが取れていたのに、桜、桔梗から俺たち付き合っている、の告白でカズマは3人の関係を壊します。それが中学の卒業式の落書き。

以前からカズマが持っている独りになりたくないという孤独感は、桜の永久に側にいて裏切らないで…の感情にスポッとハマった様に感じました。カズマは孤独感、桜は不安感、桔梗は…(私、彼だけはゲイなのかなと思った。)桜と桔梗でひたすらカズマを攻めます。この行為、関係の始まりからそれぞれの感情の変化に伴ってこう…カズマを攻めるやり方も変わってくるのですが、そこに愛とかが芽生えて最後はハッピー3P?と期待しましたが、違いました(苦)。

男性の孤独と不安を欲に変えてぶつけ合ったら、3人の様なあんな関係になるのかな…。

桔梗だけはゲイなのかな?と思ったのは、お前可愛いな、とカズマに言って始まった2人の情事なのですが…肉欲がそのシーンにはあったなと。(でも、そこに愛は無いのですよ。桜からの行為に耐えろと、桔梗がカズマに言う所は怖かった。)
桜とカズマが求める相手は、男性女性どちらでも成り立つのかな?と思いました。むしろ女性の方が2人にとっては幸せだったのかもしれないなと、思いました。

カズマの、裏切ったら殺して…はずるい言葉で、そんな事を言って興奮するのは自分だけ。桜はまたそれで…。
永遠のループにはまった3人。薄氷の上を共に歩んでる様な。誰かが踏み外したらその関係性はまた壊れてしまう…幸せそうじゃない3人の表情、その最後のコマの描写は耽美だなと。そこに原始BLの様なものを感じて感動でした。
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