このレビューはネタバレを含みます▼
まずは再開ありがとうございます。本作はさすが原作木原先生、漫画化は羅川先生ですね、もう抜けがなく、心からその世界に入って楽しめる物語でした。木原先生の作品の中では、珍しく「陽」の作品なのですが、かといって退屈さは全くなく、登場人物の繊細な心理が捉えられ、ストーリーの流れにあわせ変化していきます。それがあまりに自然な流れですから、やはり木原先生ならではと思わせてくれます。漫画化ということで、羅川先生の脚色が加わる訳ですが、これもやはり自然で、かつ柔らかな温かみを足してくれます。アルが米国人ということ、この後の舞台がアメリカに移ることもあり、羅川先生のニューヨークが自然に思い出されました。木原先生の原作は電子化された後、2019に販売がシーモアさんでも停止になり、現在は中古の紙書籍でしか手に入らないようです。また原作は、残念ながら2人の関係が大きく転換して行く中での、未完です。木原先生の内容は全体的に容赦のない辛いものが多く、最後まで気を抜けないのですが、この作品に至っては今現在の所、痛さはそれほどありません。そして発行された最終時点での内容は、本当に途中で、お世辞にも「キリの良い」状態とは言えませんし、原作重視であるなら寧ろ漫画で出版している2巻(日本編)で終わる方がキリは良いです。その中の連載再開、アメリカ編に入るということは、原作の続きを羅川先生がオリジナルとして展開させて行くのか、新たに木原先生ともに作られていくのか、羅川先生がこの作品をどのように完結させるのか、とても関心を持っています。いずれにしろ巨匠2人の作品ですから、木原テイストと羅川テイスト、深みのあるラストを楽しみにしています。[追記2025.1]小説が電子で復活しましたね。一度電子書籍から外れたので、未完で終えると覚悟していましたから、心から嬉しいです。わくわくしますね。「天才×天才」とタイトル付けましたが、その言葉でまとめてしまうのはやはり失礼ですよね。それほどお2人の世界観は広く深く、丁寧で、「努力×努力」(というか「執念×執念」に近いのかもしれないですが、怖いほどの熱さを感じています)も加えなくてはいけないなと思いました。この物語のエンディングは何年かかっても追いたいと思ってます。それほどの作品だと思います。