人生七周目の予言者は王弟殿下の寵愛を回避したい
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人生七周目の予言者は王弟殿下の寵愛を回避したい

村崎 樹/小山田あみ

珠玉といえるタイムリープBL

ネタバレ
2023年3月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ タイムリープ物はかなり大好きでついついどんなもんだろうと上から目線で読み勧めてしまいますが、その原因やリープの仕方、アイテムなど謎解き要素もふんだんなのも隅々まで堪能できる仕上がりでした!きっちり計算された上、タイムリープに至る原因にBLであることを持ってくるあたりもなかなか策士だと思うのとBLであることだからこそ成り立つ物語に『珠玉』だとうならずにはいられません。

7度も人生を繰り返し、そのどれもが生まれてからの25年間……25歳の誕生日前日に儚くなる。よくある転生モノやタイムリープにあるような同じ環境の中のある地点に戻るものではない……というのも珍しい設定だと思います。しかし、常に孤児として生まれ、毎回違う人違う場所(国は一緒)で育ち、違う人間関係を紡ぎ、違う終わりを迎える。0から始まる人生は完全にやり直しが効くように一見見えるけど、ルカの孤独は相当に深く生きること自体が辛くなるのではないだろうか。ルカの持ち前の明るさや前向きさが誤魔化しつつも本人を救っていたんだと思うけど、ルカがいうように5回くらいがほんと限界だと思う。ウィルフレッドは結局この175年目の7回目の人生のときにはじめて150年前の記憶刻まれた転生を迎えたんだろうな。だからルカがそれまで繰り返してきたどの回で出会っても、この結果にはならなかったと思う。

とにかくタイムリープの読み物として眼の肥えた読者も感嘆する内容にBLである価値までくっつけた作者様に大絶賛を贈りたいです。めちゃくちゃ面白かったです!!
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