スリーピングデッド
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スリーピングデッド

朝田ねむい

ここまで背徳的な純愛か

2023年3月21日
泣きました。背徳過ぎる。それを背負った純愛。醜くどこまでも残忍で狂ったエゴの正体はただひたすら一途な想いでした。人は愛の為にどこまで他者から奪えるのか。残酷で読むに耐えないシーンですが、きっと人の本質に眠るものがあるからで、決して心理面でファンタジーとは言えない。美化はなく、2人にあった免罪符は、善良といえる佐田が殺された生命ということ、生き返った生命には代償の生命が必要なこと、その代償は悪人であること。後の捉え方は、2人の人物像と読み手にのみ託されます。間宮については欠陥しているその人間像の再生が、この残虐な過程の中で行われていきます。そして最終話の佐田の言葉がこの歪だった物語の世界を一転させてしまう。2人の人物がはっきりと形を現せる。静かでありながら、優れた終わり方だったと思います。エゴを掘り切りBLにまとめあげた作品で、朝田先生ならではと思いました。
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