すれ違いとも焦ったいとも違う関係が面白い

大好きな作家さんで何冊か持っていますけど、１番くらいに好みの作品です。年下ワンコ攻めとか、ツンデレ受けとかが特別に好きなわけではないんですけど、組み合わせとストーリー展開が良いなと思います。タイトル通りに（性悪ではないけど）いじわるな先輩に決死の告白をしたら秒で、しかも手酷く振られ…直後に手のひらを返したようにオーケー宣言されるも、のらりくらりと振り回される加藤が図体と裏腹に大きな目をうるうるさせて「クーン」と鳴く小型犬にしか見えなくて可愛かったです。いじわる先輩の芹沢は、絶対に最初は深く考えずに何となく交際OKしただけだと思うんですよ。それこそ私みたいに「告白して振られたくらいで泣くなんて、可愛い」と思ったと思う。そんな軽いノリで始まった関係は、振り回してるはずの芹沢が振り回され出した頃から知らず知らず本当の恋愛に変わっていったのだと思います。芹沢がイニシアティブを握っているつもりで、気づいたら加藤に有利なように事が運んでいる…すれ違いとも焦ったいとも違う不思議な関係がとても魅力的です。無精髭で冷え性で若干もっさり感のある、ややオジサン寄りの芹沢が可愛く見えてくるのも楽しかったです。