透明な愛のうつわ
」のレビュー

透明な愛のうつわ

hitomi

読後の余韻半端ないです

2023年3月21日
素晴らしいの一言に尽きます…… 他の方も書いていらっしゃるように佳境では泣く準備万端で息を呑みながら読み進めていました。サスペンス要素はないのですが、ハラハラドキドキ。どう考えても二人の気持ちを大切にするならば消え果ててしまうのは必至で、こんなに悲しい愛情はないのでは…シロが消えたあと、ミキもきっとあとを追うだろうな、と … 消えゆく命を見つめながら「まだ覚えている」と記憶を繋ぎ止めようとするミキの姿に、芯の強さを感じました。 結果があのような形を迎え(他の方がなるべく濁してレビューされているので私も濁しておきます)、題名、なるほど…と感心しました。 お互いがお互いを想う余り、それぞれが痛みを我慢して想いあった、純粋な愛情をぜひとも皆様にも読んでいただきたいと思います。

個人的な事ではありますが、作者さんがあとがきで「愛猫の死」と書いていらっしゃるのを目にし、私も少し前に愛猫を亡くし、未だ乗り越えられない気持ちを抱えているので、作者さんがそんな中でこのような愛の形、生みの苦しみ、魂=命と描かれたのか…愛と命への賛美、いとしく想う気持ちを表現されたのか、とぐっときてしまいました。そのあと再度読み返してみて、1度目読んだ時とは違う感覚で泣きながら読みすすめました。 マスターのひ孫さんではありませんが、随所に命の誕生、人間は愛情を受け止める器である、ゼロからのスタート、を感じさせる素晴らしい作品です。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!