このレビューはネタバレを含みます▼
2巻まで何年も前に読んでいて、3巻以降も続いていたと知らず今日一気に読みました。
少女漫画の素敵彼氏ランキングが一気に上書きされ、光永くんが一位になりました。
読んでいて気がついたのですが、彼はチヤホヤしてくる女の子たちと仮に付き合っていても、彼女たちの理想のイケメン彼氏になったかどうかはまた別問題かもと思いました。
老夫婦のようにいつも影野と一緒にいて、少しでも男の影があれば排除に動き、影野の新しい友達には「影野がお世話になっています」と挨拶し、そして自覚はなさそうですが本心は結構甘えたがり。
影野がしたいようにさせてあげたいとのことでしたが、序盤の様子を見ていても影野が望まなければ影野に友達なんて一人もいなくても自分が独り占めできるからOKそうな、思春期にしては周りを気にしないマイペースさ。
案外、光永くんの方がべったりでこのペースに付き合えたのは元々ぼっちだった影野だからこそなのではと。
もし明るくて友達の多いタイプの女の子なら光永とは上手くいかないようにも見えます。
そういう根っこの気質の部分で二人はぴったりお似合いなのだと感じました。
二人が最初の頃から「共に生きていきたい」という共通認識を持って付き合っているのがとてもよかったです。
受験期も距離をおかない選択をしていたのがとても良かった。彼らは大人が想像する高校生の恋愛以上に最初から一緒にいるから頑張れるという、人生のパートナーに必要な部分を共有できる関係で、よくある恋愛っぽいロマンスやデートのドキドキよりちゃんと中心にパートナー意識があって見ていて幸せな気持ちになります。
何度も「共に生きていきたい」というお互いの意思確認を更新していくのが素晴らしかったです。
最後の記憶喪失は、この手の展開はまたかぁとなりがちですが、影野が光永父と話しているシーンで号泣しました。
「もう十分一生分の幸せをもらえた」と思えるぐらい大好きな人と出会えたこと、自分が逆に記憶を失ったらと思うと絶対嫌なこと、やっぱりこれからもずっと一緒にいたいと思えること、それはちょっとやそっとで手に入る「好き」ではなく間違いなくかけがえのないものだと、涙しました。
「何があってもずっと大好き」はこのストーリーから口だけじゃないことがちゃんと伝わって、お互いがこの関係を大切にしようと常に思っていることが伝わってくるしあわせなお話でした。