500年の営み
」のレビュー

500年の営み

山中ヒコ

絵本のようなお話

ネタバレ
2023年3月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「イキガミ〜」の続編から気持ちが昂ぶって、この話も買ってしまいました!その感じで読んでしまうと物足りない人もいるかも。この作品は最後の方はずっとピアノの音が聞こえてくるような、絵本のようなお話でした。前に「積み木の家」というアニメを見ましたが、それを彷彿とさせました。SFだけど、すごくロマンチック。主人公のトラは光という存在とともに在りたかったわがまま王子のような男でしたね。彼を愛した人間の光は冒頭から思い出の中だけの人。一緒に暮らした本物の光の、3割減の出来そこないアンドロイド、光Bはポンコツだけど、愛情深い、ある意味そこもアンドロイドとしてはバグが起きている存在。でも、人間は五百年経っても、不条理な存在のままで、相変わらず戦争をしたり、トラのように、不可能を可能にしようと足搔いたりしている存在なんだな〜と、この作者の世界の捉え方に共感したり…。矛盾の仕方がそのまま美しい、という表現は深いな~と思いました。最後は映画のような余韻が…。はっきりとしたことは想像に任せる感じの終わり方です。後日談のようなおまけ漫画から想像するしかない。個人的に好きなところは、アンドロイドたちが人間を大切にするところです。ゴミ処理場のアンドロイドたちがとても微笑ましかった!この漫画みたいに、願わくば、現実のAIもロボット三原則に沿った存在であり続けてほしいですね~。いろんなことを考えた作品です。
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