このレビューはネタバレを含みます▼
美しい。ただひたすら、美しいのに、気がつくと禁断に触れている。冒頭作、自分の切断した指から生まれた女の子に恋するお話。日本語にするだけで、独特の世界観。何故だか、胸がザワザワする。いけないことを描いているはずなのに、それでもいやらしさがないのは、この作家さんの筆致と、どこか無機質にも思える構図のおかげでしょうか。どのお話も、美しくて悲しくて、そして、ほのかに禁断が香ります。この色香が、この作家さんの最大の持ち味であり、醍醐味と言えると思います。掲載されている短編は、どれも少し悲しくて、どこかにゾクリとするような描写があります。唯一無二の世界観に触れたい方には、ぜひオススメです。