パライソのどん底
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パライソのどん底

芦花公園

甲乙つけ難い小説

ネタバレ
2023年4月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一般小説のジャンルにおける読み物としては上手くできている。また、無理やりBL枠に組み込んだ(実際にはその意図かもしれないが…)と言った不自然さも感じられず、必要な要素として成り立ってはいた。が。BL目的でこの本を手に取ろうかと悩んでいる方はまずやめた方がいい。違うそうじゃない感が押し寄せる。またところどころ時代が交錯したり、一人称が変わったりもするので、今誰の視点で話をしていたのかを忘れ、話がわかりにくい部分もあった。ここからはネタバレになるが、幸せになりましたチャンチャンで終われば良かったものを…ホラージャンルの作家先生ということもあり、最後が薄気味の悪い終わり方になっている。ラストで律から生まれてくるモノはなんなのか?赤い球潰したはずやん…?男と女の声ってあの2人なのか?数回読まないと伏線回収は難しい…?とにかく、ホラーは自分には向いてない、と再認識できるラストだった。大抵読者に「解決した!」と思わせてラストに意味のわからないイチャモンつけて最後までゾクリとさせて終わる。というのがホラーのセオリー。だが、道理を好む私からしてみれば、全ての伏線と道理を無視するホラーラストは納得がいかなかった。結構辛口なレビューになってしまったが、「人魚」を認識できない、言葉にさえ出来ないなどの仕掛けに関しては感服した。伏字の使い方や、人称を変えることによってこの人は認識できていて、こっちの人は出来ないんだ、という魅せ方も面白い。総評。基本バドエンのホラーと基本ハピエンのBL。混ぜるな危険やろ。
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