ビッチなスズキくん
」のレビュー

ビッチなスズキくん

重い実

痛々しいバンソーコ

ネタバレ
2023年4月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ タイトルと試し読みだけでは皆さんのレビューにどう繫がるかまったくわかりませんでしたが、これは泣けるというのもわかる。読んでて苦しくなる。楽しいお話ではないです。
物凄く陳腐にまとめれば「愛を知らないスズキくんが須崎さんの深い愛に癒やされる」なんでしょうけど、そんなに一筋縄ではいかない。母親や慕った人に捨てられた経験から、人に関わらなければ傷つかない、とほぼ「しんでないだけ」の生活を送ってるスズキくん。バンソーコは膝だけでなく心を守る、予め傷つけないようにするための防波堤。でも須崎さんと体を重ねるにつれてバンソーコが増えていく意味を考えると…つらすぎる。でも、最後は須崎さんがスズキくんにとってのバンソーコになったんだろう。てか、須崎さんもハン罪スレスレのことしてるんだけど、これくらいの情熱がないとスズキくんのバンソーコをはがすことはできなかったと思う。
敢えて言えば他の方もチラチラ書いてあるように、オーナーと店長パートはあんなに要らなかったかな~。あれはすでに他の物語。オーナーの愛には泣かされるけど(後書き必読!)。あれはこの爛れたコンビニ唯一の常識人、スズキくんが程よくポカポカした気持ちになれた堺さんとの絡みなのかな。
繰り返すけど、タイトルを裏切るくらい、苦しくなるお話。えちえち盛りだくさんだけど、最後の最後までスズキくん好きって言わないし、モノローグでも語らない。それは画で語られてる。軽くは読めないけど、折に触れて隅から隅まで読み返したい、そんなお話です。
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