このレビューはネタバレを含みます▼
絵は癖が強く、デッサン狂いが気になる箇所もありますが、それ以上に、濃厚で耽美な魅力に溢れた作品です。
典彦が、澄ました顔してとにかく凄く、変 態!!もう本当に狂愛の極地です。途中まではとにかく怖ろしく思っていましたが(でもその異常性の虜になりました笑)、最後の最後に憐れで愛おしく感じました。典彦もまた、當間家に囚われた一人だったのだなと。そして終始翻弄されていたように思えていた育郎が最後、蟷螂になる。當間家の業の深さをまざまざと見せつけられました。。
同じく當間の業に翻弄されていたように思っていた蘭蔵は、最初から最後まで変わらぬ純粋な愛を心に抱く強い人だった。対象的にただ惨めに堕ちていった健一が、最後に救われてよかった。さち子もまた、強い人道的な愛を貫く人だった。育郎に世間一般の幸せを願っていた飯田という存在によって、育郎の救いのなさと所謂「普通の人」との違いも強調されている。それらの光によって闇がより一層深く感じられる、素晴らしい作品です。この作品にはまってしまったら、他では物足りなくなってしまうかもしれません。