このレビューはネタバレを含みます▼
まずはじめにお伝えするとすれば「ネタバレなしで一気に最後まで読み終えてほしい」です。私は結末の想像がついている状態で読みましたが、それでも予想以上に感情を揺さぶられ、読後すぐにレビューを書くことができませんでした。もう一度読んでからレビューを書こうかとも思った。でも疲弊していて、しばらく2度目を読むことはできないだろう…。なので、纏まらない頭のまま投稿します。拒否反応出る方もいらっしゃるだろうし「読む」ための材料ではなく「避ける」ための判断材料としてこれを読んでください。そうでない方は一気に本編へGo!◇◇◇本作は決して幸せハッピー!なストーリーではない。読者が。主人公CPはそれぞれが約束を果たし、ある種の幸せな時間を過ごしたのかもしれない。でも彼らにとっての幸せは本当に「そのかたち」しかなかったのか?と考えてしまう。本作のテーマの1つとなっている「不倫」。大切な人を傷つける決して許されない行為ではあるが、本作は不倫を美化して悲劇的なストーリーにしているわけでも「好きになっちゃったんだから仕方ない」的な開き直りご都合主義が描かれているわけでもない。確かに貴斗と梓は世間からみれば「不倫」という許されざる関係になってしまった。そこにどれだけ深い愛情があったかは関係ない。非難されるべき行為だろう。では貴斗の妻・かやと息子・なつめはどうか?彼らも彼らなりの愛情があって大事に守っていきたいものがあった。でもそれは誰かの不幸の上に立つものであっていいのか?簡単に答えの出せることではないが、人間という利己的な生き物の本質が出ていたと思う。決して共感したくはないが、結局、人間は自分が一番大事なのだ。誰かを犠牲にしたって。梓が自分と貴斗の未来を「こうありたい」と決めた時、もちろん貴斗の家族への後ろめたさもあっただろうが、自分の存在がモデルとしての貴斗をダメにしてしまうのではないか?という想いも強かったように思う。しかし貴斗自身は孤高のモデルとして絶賛されるより梓と生きたかったのではないか?それを考えたら梓も身を引いたようでいて、実は利己的なのだ。皆がみんな人間臭く利己的で、それが導きだしたものがこの物語の結末なのか。だとすれば、やはりやりきれない。貴斗と梓、2人の未来に違うかたちはなかったのか?どうしても考えてしまう…。これは不倫愛を描いた物語ではない。愛のかたちを描いた物語なのだ。