年上のひと
」のレビュー

年上のひと

河合あめ

可愛いけど面倒くさい、でもそれが大人

ネタバレ
2023年4月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 内定先の倒産で無職になった男が居酒屋で意気投合した年上の小説家の家に転がり込むお話。
酔った勢いで体の関係を持ったことから始まるというのはよくある設定ですが、読めば読むほど奥が深くなるお話でとても面白かったです。
とにかく永津さんの印象がいい意味でコロコロ変わるのが印象的でした。最初はとても可愛い人、翌朝になったら傍若無人な人、居候してからは朝はヨボヨボの抜け殻で昼は愛想笑いもしない厳しい人、そしてお酒の力を借りないと素直になれない人。一歩踏み込んだかと思えば、また壁が作られるというようになかなか攻略出来ない感じが、もどかしくもハマっていく青村のやるせなさとリンクしました。
何よりも印象的だったのは、元彼マオとのやり取り。マオへの反省と仲間たちは分かってくれているという安心感、静かに生きたいという願いなどは年齢を重ねた大人だからこその反応で、年上の魅力が存分に発揮されていました。恋愛面では面倒くささばかりが目につく年上という要素も、人間性という意味では大人であることの懐の深さが良さとして伝わってきました。
とはいえ、恋愛面では本当に面倒くさいのが伝わったし、だからこそ青村のようにまっすぐぶつかってきてくれる相手と巡り会えて良かったなと思いました。描き下ろしでは、青村に攻められっぱなしでグズグズに甘えてる永津さんが本当に可愛かったです。
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