トーマの心臓
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トーマの心臓

萩尾望都

漫画の中に神を見た

ネタバレ
2023年4月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ しんしんと降り積もる雪の中を歩いていく孤独な少年を上から俯瞰したような構図。そのとてつもないリアリティと詩情に第1ページから大傑作だと決めて読み始め、期待以上の完成度を味わい尽くすことができた作品です。スリリングな謎解き、ヘッセ的な少年たちの友情と愛。そして最後に辿り着く許されていること、幸福であること、生きつづけることの全的肯定。漫画のなかに神を感じた稀有なエンディングでした。「僕は幸せになるために生まれてきたんだ」という『鬼滅の刃』の傑作モノローグも『トーマの心臓』なしには生まれてこなかったと信じてます。
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