僕たちは昨日まで死んでいた
」のレビュー

僕たちは昨日まで死んでいた

中原一也/笠井あゆみ

匂いに囚われ

ネタバレ
2023年4月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 中原先生のお約束でもあるエロおやじも下ネタも封印、しっとりした作品です。
「死の匂い」を漂わせる職人佐埜(25歳)とそれを嗅ぎ取ってしまう飲食店オーナー月島(28歳)のお話。
死の匂いなんて不吉ですが、今の時代そんな匂いを放つ人がゴロゴロいそう。だけど栗原のような心根の人がこの匂いを纏うことがあるのだろうかと考えると、この匂いへの印象が変わりました。
前半はマイルド路線で時として都合の良い展開もありますが、栗原の登場でお話が一気に引き締まります。ラスト、死の匂いを放っていた佐埜から本来の体臭を嗅ぎ取った月島の思いにじんわり。好きな人の匂いって安心するし格別だから、月島にはこれから思う存分佐埜をスンスンして欲しいな。
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