蠱蝶の殉情【イラスト入り】
」のレビュー

蠱蝶の殉情【イラスト入り】

和泉桂/笠井あゆみ

近くて遠い国中国の蠱惑的な物語を数編

ネタバレ
2023年4月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一冊の本の中に4編の話が載せられています。
1編目は、書き下ろされた表題の中編『蠱蝶の殉情』。
2編目は、2010年に同人誌に発表された短編『広陵散』。
3編目は、これも2007年に同人誌に発表された中編『残灯一盃野蛾飛(ざんとういっさんやががとぶ)』。
4編目は、過去に同人誌に発表された作品を加筆・修正した小編『蜜契(みっけい)』。
笠井あゆみ先生の9枚の美麗な挿絵を堪能しながら読み進めてください。
1編目の登場人物と圀が4編目の登場人物と圀に繋がっていて、蠱蝶(苓鈴)の兄弟姉妹への純情・愛情に胸を打たれます。
2編目は、王の情人だった青年の幽霊の罪と死と神仏による許しに纏わる話です。広陵散は、琴で奏でられる曲の名前で、幽霊の青年とかつての思い人を繋ぐ調べです。
3編目は、歴史上、世界中で、この話の内容以上に人権を踏みにじるような酷い扱いを受けたに違いない人々が存在したことを思い起こさせます。
4編目は、蜜のような甘い話なので、3編目で打ちのめされた心が優しく心地よくとろけます。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!