このレビューはネタバレを含みます▼
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【以下、完全にネタバレしてます。この作品はネタバレを読まないほうがいいので、未読の方はご注意ください】
たぶんこの短編の最大の謎は、なぜてっちゃんは本当のことを言わなかったのか…だと思う。
そこがこの物語の最高に気持ち悪いところで、疑問に明確な答えはなく、読後、いつまでも苦く残る。
読み方によっていろんな解釈ができると思うけど、私は…ずっとてっちゃんは幸太郎が好きだったのかなと思いました。BL的に。
子供の頃は自分を憧れの目で見てくれていた幸太郎だったけど、年月とともに自分は背も高くなくなって、成績も下がっていって。
たくさん他に友達ができて、自分とは疎遠になってしまった幸太郎に、ただ自分だけを見つめてほしかったのかなと。
自分とは全く関係ない事件なのに、一緒に逃げてくれた幸太郎。
「ずっと一緒にいて、お前のために働くよ」と言ってくれる幸太郎に、良心の呵責に耐えられなくなったてっちゃん。。
そうこうしてるうちに幸太郎が大変なことになってしまい、自分のエゴのせいでこんな事態になったことに対して責任を感じたてっちゃんは、最後の選択をしたのかな……と。
あとからその事実に気が付いた幸太郎の、物語の残酷さが私にはツボでした。
幕をスパッと切り落とす、落とし方が鮮やか。
苦く、苦しく、切ない思いが余韻で残る。
本当に一度読んだら忘れられない、見事な短編だと思いました。