このレビューはネタバレを含みます▼
いじめっ子×いじめられっ子、そしていじめられっ子がそれを苦に自/殺未遂。めちゃくちゃ美味しい設定であり素材なのにそれを上手く活かしきれておらず、闇BLとしては未熟だなと思いました。「どうして?」「なんで?」「なんでその考えに至った?」という疑念が尽きず、ラストに至ってはあれだけ心の声が聞こえる相手が気持ち悪いと言っていたのに、心の声が聞こえるようになってしまった香藤を未だに心酔出来る事に納得が出来ませんでした。幻滅してこそすれ、変わらず心酔しつづけられるのは何故でしょうか?
そもそも、何で心の声が聞こえるようになったのか…、という所に疑念が持たれそうですが、ひとまずそこは置いておいて、私が一番気になったのはあれだけ傍若無人だった織田が、相手の考えが読めるだけであそこまで憔悴するか?という事です。頭が良くて何でも出来て、世界がつまらなくて仕方ない人間だったとしたら、逆にその出来事を面白がって楽しむ方が自然かなと思うんですが……。あれだけイキっていたキャラがブルブル震えて憔悴して、果ては香藤を虐めていた同級生を消しに回る……、うーん、小物感満載すぎる。ヤンデレ、闇BLスキーとしてはボタンの掛け違いのような解釈違いな闇展開に「こうじゃないんだよなぁ……」の連続でした。闇BLというよりは、パニックホラーBL系?でしょうかねぇ…。そもそも同級生が香籐虐めたのってお前のせいだぞ、という特大ブーメランが……(以下略)
あまりでん蔵さんの作品を沢山は読んでいませんが、あんまり闇BLは向いてないかもしれません。
これは私の願望ですが、事故後心の声が聞こえる織田が更に傍若無人になっていき、その中で出会った香藤だけが声が聴こえなかった。何故あいつだけ声が聴こえないんだ?気になる、何を考えているんだ?ふざけるなよ……、とかいう展開の方が更に香藤を虐められるし執着の対象にもなるし、囲う達成感もあると思いませんか?
本作の展開だと絶望感が上滑りしてるんですよね……。