サディスティック・ビューティー~真田×辺見編~【タテヨミ】
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サディスティック・ビューティー~真田×辺見編~【タテヨミ】

Woo Yeonhui/Lee Geumsan

魔物に取り憑かれていた2人の男

ネタバレ
2023年5月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ この2人は、魔物に取り憑かれていたと思うのですよ。
辺見は、虚栄心という名の魔物に取り憑かれていた。しかし、真田に拘束されることで、図らずも虚栄心から解放され、自分の行いを後悔します。その結果、人格だけでなく、顔つきまで変わります。それは本編の辺見と同じ人なのかと疑いたくなる程。個人的には、本来、辺見はこういう人だったのではないかと思うのですよ。ただ、極貧で育った生い立ちが、彼の人格を歪めていた。
一方、真田は、家族の誰からも愛されずに育ったため、人と深い付き合いができない。そして、支配欲、所有欲という魔物に取り憑かれていった。しかし、「辺見を支配する」という目的を達成すると、初めて「愛する人から愛されたい」という、人間らしい感情を持つ。しかし同時に「愛する人を失いたくない」という不安が強くなり、自分の感情をコントロールできなくなる。
果たして、最後に勝ったのはどちらだったのか?
悪魔の化身・真田が跪いて愛を乞うようになったのだから、一見、辺見の勝利に見えます。しかし、辺見は真田から愛されたいと思ったことはありません。真田を受け入れた時の感情は、犯罪被害者のストックホルム症候群のような気がします。
真田の方は、辺見に対して数々の犯罪行為をしたにも関わらず、受け入れてもらえた。この世で唯一愛している人を手に入れた訳です。これは、真田の粘り勝ちではないでしょうか?
それなりの代償も払った訳ですが。(いいとこの坊っちゃんである友人達を半殺しにして敵に回し、財閥の母親と縁を切った。)とは言え、真田が金に困ることはないだろうし、辺見を失うことに比べたら、些細なことなのでしょうが。仮にラストで辺見を取り戻せなかったら、真田のその後の人生は悲惨なものになったでしょう。「辺見がいつか自分を頼って訪ねてくれるかもしれない」という万に一つもない希望にすがって生きていくしかないのですから。
最後に、あともう1話欲しかった!最終話の展開が速いので、もう少し細かく感情の変化を描いて欲しかったです。また、後日談なんかもあると、更に良かったですね。
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