最初からは想像出来ない程のラブラブCPに

「ドラッグレス・セッ クス」のフェロモン症カップル、辰見と戌井の二人のその後をじっくりと描いた作品です。
前作を読んでいると、まさかあの二人がこんなに穏やかな愛で結ばれるなんて信じられない、というくらい、二人の関係は変化していきます。最初こそ、全くタイプの違う二人でフェロモン症の一件がなければ上手くいくはずがないように見えたのですが、戌井の重苦しいくらいの一途な愛と実は真面目で誠実な辰見とはとても相性が良かったんだなと納得してしまいました。素直になれず喧嘩したり、将来を信じきれなくてすれ違ったりしながら、お互いへの想いがフェロモン症関係なく確かな愛情に変わっていく過程がゆっくり丁寧に描かれていて、二人の想いの深さを読者もしっかりと感じられる展開は本当に見事だと思います。
辰見は最初とはまるで別人で、とても愛が深く優しい穏やかな人になったし、戌井は甘えられるようになり、二人の関係性も当初とはだいぶ変わったと思います。この変化は、お互いがお互いの愛を信じられる関係になったからだと思うと、フェロモン症がきっかけとは言え、愛が芽生え、育ち、根付く様子をしっかりと描いたこの作品は本当に名作だと思いました。
辰見の周りの友達たちも理解がある人たちで、辰見と戌井二人のこと以外、何の問題もなくお話が進んだことも、二人の愛の過程に集中出来た要素かなとも思います。
そして、最初から最後まで楽しめるえちシーンと、えちがなくてもほっこりしてしまういちゃいちゃシーンは見逃せないポイントです。一見の価値ありだと思います。