恋愛よりももっと深い人間愛を感じられる

言葉も通じない未開の地から大学に留学に来た超イケメンの男とその男の留学の世話をすることになった事務員の男との間に生まれる深い愛のお話。
「ドラッグレス〜」を読んだ後にこちらを読むと、エンゾウ先生の振り幅の大きさに驚かされます。あんなに激しく求めあい、体のぶつかりを描いた作品と、えち少なめで優しい雰囲気のこの作品を描いた作者様が同じだなんて、本当にビックリしました。
そしてこのお話は、文化も風習も違う、言葉も通じない関係から、心を通わせ大切な存在であることをお互いに自覚し結ばれるまでを描いた1巻。国や立場の違い、周囲の理解などに苦しみながら、お互いを作ってきた全てのものを敬愛し、慈しみ、愛し愛される事を描いた2巻。BLという枠組みではなく、もっと個々人を尊重し、お互いが生きてきた土台や世界を大切に想うという、とても深い人間愛が描かれていて本当に素晴らしかったです。
そんな壮大な世界観をコメディタッチで明るく描き、ハートフルな物語に仕上がっているこの作品。笑える場面も感動する場面もとてもいい塩梅で、最後まで楽しく読めました。ルター族の世界観もとてもしっかり創り込まれていて、民族性や風習なども、どこかに存在していそうなくらいリアリティがありました。読後は心がほんわかと温かくなるお話です。