授か離婚~一刻も早く身籠って、私から解放してさしあげます!
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授か離婚~一刻も早く身籠って、私から解放してさしあげます!

かんべあきら/長野雪

ただ素直になることの難しさ

ネタバレ
2023年5月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ この物語の根幹に『迫害』がある。
当初はする側の悪意が、話が進むにつれては、される側の歪みが際立ってくる。
迫害の理由である『色無し』については、どうやらこの国の中での問題であって人間として欠格である訳では無いと明かされてくる。ヒロインである色無しのフェデリカの周囲にもみられるように、他人を見下しわかりやすい欠格を理由にさげすむ者もいれば、人として向き合い人間性に目を向ける者もいる。今後の展開で、その辺も描き出されていくだろうか、楽しみだ。
ストーリーの中核であるふたりの恋愛については、ただただしあわせになって欲しいと応援したくなる。
だがここでクサビになるのが、さげすまれ続けてきたフェデリカの感情の歪みだ。
たぶん治癒の力を持つがゆえに色無しとしては比較的恵まれた環境で暮らしてきたフェデリカではあるが、子を身ごもり変わっていく自身と向き合い、素直に愛し、愛される自信を持つのはとても難しい事に思える。

この難しい情感を、とても丁寧かつ美麗な絵柄で描きだす、かんべあきらさん。
どうかふたりが、3人(あるいはそれ以上)になってしあわせになるまで、よろしくお願いします…
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