このレビューはネタバレを含みます▼
一緒にいた四辻柊が行方不明になって10年、18才になった櫛原夏生は、柊が姿を消した日無山を一人で訪れます。父親同士が親友の同い年の柊と夏生は仲の良い幼馴染で、10年前のその日も朝から二人で山に登ったのでした。日無山は行方不明者が多く、異界に繋がっていると言われていました。子供だけでは絶対に行ってはいけないと言われていたのに、柊は例え異界に行っても夏生と一緒にいたいと夏生の手をグイグイ引っ張って連れて行き、そして夏生の目の前で消えてしまったのでした。あの時自分が手を離してしまったからという後悔に10年間苛まれてきた夏生は、最近になって日無山の沼に13年前に行方不明になった男性の遺体が浮かんだことから柊を探し出す決意をしたのでした。ネタバレしてしまうと台無しになってしまうので詳しくは書けませんが、横溝正史にで通じる湿度の高い異界とループするパラレルワールドが描かれます。執着攻めの熱量か半端無く、ラスト近くは視覚的にも圧倒されます。扉絵とタイトルから「ぼくの夏休み」的なお話をイメージしていましたが全然違いました。ラストが想像できなくて一気に読んでしまいたくなる作品です。