このレビューはネタバレを含みます▼
「男の子同士は結婚できないから、好きになってはダメ」幼い初恋に、母親の言った言葉が、ずっと重しのように乗っかっている獅子丸。礼央への気持ちは、宝箱の中に封印して、礼央とは特別仲良しの「良い友達」。高校が違っても、帰り道で待ち合わせる。それが至福の時間。でも、深いところにある礼央への気持ちは、見ないように過ごして来たのです。その、微妙な友達関係は、礼央の告白で、動きだします。子供の頃は素直に言えた気持ち、子供ではなくなる中で、いろいろ知る現実に、獅子丸はとっても臆病です。社会に突きつけられる現実から、一度逃げ出して、恋人になった礼央を深く傷つけます。確かに、礼央の友達ゆかりんが言うように、獅子丸は加害者になってしまったのかも。でも、責められないよね…。同性愛に向けられた嫌悪に、怯えても普通だよね。二人ともまだDKで、大人や周囲に翻弄されて、たとえそれが善意から来ていても、傷つけられたり。二人を見ていると、なんだか、頑張って強くならなくても、いろんな事に少しずつ折り合いをつけて、大人になっていけばいいんだよ、と思う。獅子丸が、礼央への気持ちを諦めなくて良かった。と言うより、諦められない自分を、認められて良かった。ずっと、仲良しでいてほしい。そう祈らずにはいられない、可愛い二人でした。
三田先生の描く優しい BL。なんか、どうしても陽だまりみたいな世界になるんですね。好きだなぁ。