蜘蛛神さまのΩ
」のレビュー

蜘蛛神さまのΩ

山冨

「土蜘蛛草子」を擬えた現代版オメガバース

ネタバレ
2023年5月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 明度の低いパステルカラーの青とピンク、そこに硬そうな大きな脚。ある手が主人公を何処かに連れて行こうとしていて、2巻の表紙は夕焼けの様な背景、そしてまた手。先程の脚には苔なのか月日の経過を感じ、こんな物語る表紙は素敵だなと衝動買いしてしまった作品。

物語は「土蜘蛛草子」を擬えた、オメガバース世界の東京、高校生達のある夏の物語。地方の町に友人達と旅行に…から始まります。作者のαで始まりΩで〆るという物語の設定は良かったです。ホラーと言ってもグロさは無く、あるのは人の業や儚さなのかなと思いました。

ネタバレですが、
上巻冒頭、片想いしているαの友人 綱平から同じ大学に行こうと誘われ、期待する主人公 光。その次のコマ、蜘蛛。ページが変わり幼い少年が突然光の背に。ゾクッとしました。そしてその少年の手を見てハッとしました。あぁ、上巻の表紙から始まっていたんだなと💦 あの手はこの少年なのかな?と。そんな独特な時間軸を感じて楽しいなと。

下巻。呪いというものが韻だとしたら音なので、例えば「嫌い」という言葉を心の中で思ったり紙に書かれたものを読んだりすると、少なからず障りがあるのかなと。だからかもしその言葉が「大好き」だったり「貴方に幸福を」だったら。本来の呪いの意味が変わるのかなと。それもまた呪いの陰陽なのかなと。

そんな事を考えて臣×光の結末を思うと、臣の親、先代達の”呪い”の陰陽もまたあって、前を向いて記憶を自ら取り戻した光だから断ち切れた、あの因習的な”呪い”なのかなと。
そして下巻表紙のあの手は五馬なのかな?と思いました。望んだ通り彼は最期、当主となり、また彼がいたから終われた。そんな五馬を”忘れない”と言った2人、読了してまた表紙を眺めて良い作品だなと。

武さんの臣への想いとか色々あったんだなと、ページ数的な難しさを作者のあとがきで感じました。どうかスピンオフを😩

描き下ろし…番う、巣作り。エロ✨ 作者のこだわり…愛を感じました😩
次作も楽しみです。良かったです✨
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