密書でござる!-隠密大江戸春情録-【単行本版(シーモア限定描き下ろし付き)】
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密書でござる!-隠密大江戸春情録-【単行本版(シーモア限定描き下ろし付き)】

斑月

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ネタバレ
2023年5月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 短編だったものが単行本として纏められ、さらに続編も出て完結らしいのですが、もっと読みたくなる面白さです。江戸の若殿と国のご家老との間でやりとりされる密書を隠密の沼助がお届けします。文字にしては万が一敵の手中に落ちた時に大変なことになるので、文字にはできない秘密の暗号を沼助は身体を張ってお知らせします。その内容はハグからキスに、さらにエスカレートしてゆくのでした。ご家老から受け、それをそのままに殿に攻める沼助のモノローグがたまらなく面白いです。ついには文も無くなり、それなのに密書を狙う敵は引きも切らず、こんな内容言えるかよッと生きるお手紙•沼助の心の叫びがこだまします。沼助の行動を怪しく思う江戸家老、謎の遣い手•逆鬼源龍斎、沼助の師匠•又兵衛、沼助を兄貴と慕う錫虫など脇キャラも楽しい時代ものコメディ、2巻は若かりし沼助と幼い錫虫との出会いから始まり、錫虫の狂おしいまでの兄貴推しとその活躍が描かれます。『白椿』お江戸の鼠が追っ手に追われて白椿の咲く屋敷に逃げ込みます。歌舞伎役者の喜久蔵と町方の九兵衛の恋が、降り積もる雪、咲き乱れる白椿の花を背景にしっとりと結ばれます。確かな画力とドラマティックなコマ割りとで江戸情緒溢れる芝居仕立てになっています。
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