萌えの死角
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萌えの死角

今市子

故ヘルムート・バーガーを偲んで

ネタバレ
2023年5月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 市子先生のエッセイ本。ページ数含め重量感があります。萌え論、先生のご家族、生活、最後は虫まで…エッセイを通して先生の私生活に触れられる、充実した内容でした。
クラシックバレイ、海外ドラマ、ヨーロッパアメリカ映画、時代劇、ドラマ、NHK、BBC等…市子先生の「萌え」論。 何度も出てきた、聖域と仰る萩尾望都先生の「トーマの心臓」。市子先生の萌えの核に鎮座されているんだなと。そう言われるとこのシリーズの表紙から漂う、青年達(時には歳の差カプ有)の立ち位置、距離感、合わない視線。(…ぁあああ😩 )多くを語らないその表紙、幸薄さ感。感じます、感じますよ💦😩 萌えですよね。(はぁ、有難い)もしかしたらこの作品はこれが「萌え」だと味わって読むものではなく、感じるものなのかも知れません。

NHKドラマや大河ドラマも確かに俳優同士の顔が近かったなと…(民放でしたら織田裕二作品とかなのでしょうか…)。はぁ、上げたらきりがありません。

イタリア作品についても触れられていた市子先生。あの頃の作品はグローバル化という言葉もない時代、その国、郷、らしさしかなかったかなと(今だと皆んなスマホを持ってます…)。そして市子先生の言う萌えも、作品だけじゃなかった。監督とバレイダンサー、監督と俳優の特別な関係…虐タイではない関係性というのがありましたね。ルキノ・ヴィスコンティ監督とヘルムート・バーガーもそうでした。皆んな周知の仲だった。はぁ。「地獄に堕ちた勇者ども」原点です😩。アジアは「さらば、わが愛」レスリー・チャン。市子先生のこぼれ話、萌えでした。(あぁ、胸が苦しい😩)

そして、アレじゃないと出世できないと市子先生BBC。勘違いかもしれませんが、確か「白洲次郎 占領を背負った男」か「白洲次郎の流儀」かそのどちらかに、イギリス留学生時代を知る友人?が次郎に、お前も…みたいなやり取りがあったかと。次郎、睨んで見返す、の言葉が萌えでした。

市子先生「やっぱりこういうものは、隠すからいいんです。あまり光を当てないで、」。今は何もかも表にホワイト化してしまうからか、消えてしまった秘すれば花という艶(萌)があるのかもしれません。余暇に楽しんで読んでいるこのエッセイ。先日訃報のニュースを見て、あぁ消えてしまったなと。永遠に美しい俳優、エルムート・バーガーを偲んで。(市子先生は何を思ったんだろう?)
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