透明な愛のうつわ
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透明な愛のうつわ

hitomi

静かでシロい深い愛

ネタバレ
2023年5月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 全編通して、とっても静かな空気が流れてる印象でした。
BGMが無い映画を見ている感じ。
足りないという意味ではなくて、必然的に。
美しくて透明な画風が、このお話に本当にぴったりで引き込まれます。

すっごく真剣に読みました。
「毒」という言葉が出て来たとき、絶望に打ちひしがれました。
噓でしょ。そんな。どうして!?
途中から、先の展開が見えるようで、でもそうなって欲しくなくて、ドキドキハラハラしながら読みました。
後半は涙ぐみながら読みました。
最後まで目が離せませんでした。

一切邪念の無い献身的なシロ。発する言葉は常に優しさの塊。
そんなシロの優しさを素直に受け取り、真っ直ぐな言葉を返す純粋なミキ。
「言葉足らず」や「誤解」「行き違い」、そんなものとは無縁な、いつもちゃんと相手に伝えることを惜しまない2人。
2人の目が優しさで満ち溢れていて、穏やかで見ていて幸せ。
お願いだから、2人を引き裂かないで!と願いながら読みました。
もちろん最後はハピエンです。

課長の秘密が明かされたとき、助かる道があるってこと?導いてくれるの?そういう位置づけの存在なのかな と思いましたが、道を切り開いたのは2人自身の真っ直ぐな愛でした。
ラストでシロがすれ違った名も無き人。彼が何なのか 一切説明が書かれなくても、課長の存在から想像出来ました。

世界感にぴったりの絵、ゆったりしているのに引き込まれるテンポ、過不足無く提供される情報、愛しいキャラクター、染み入る台詞、あまりにも美しい涙、そして結末、
どれを取っても最高でした。
純粋な愛に満ち溢れた、素敵で優しい作品でした。
ありがとうございました。
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