銀の鎮魂歌
」のレビュー

銀の鎮魂歌

吉原理恵子/yoco

代わりになるものなどないと知るのは

ネタバレ
2023年5月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大義の前に捨て置かれたキラ。死場所を求めて戻ってきた懐かしい都。そこで静かに眠りたいだけなのに、目立つ容貌と才能がひっそりさせてはくれなかったわけです。ルシアス本人だけが知らない本当の事情。そんなことも考えられないほどに心は乱れました。妃に迎えようとしたマイラの事が不憫です。人望もある素晴らしい人物らしいのですが、キラが絡むとただの執着にまみれた愚かな男でしかないのです。キラの不在を理解したくないルシアスが選んだ未来は救いがあるのでしょうか。自分が間違った仕打ちをした事を直視できない人です。世継ぎができたら消えてしまいそうですね…。本人にしかわからない、無二の相手を無くした王は孤独に生きることも受け入れられない。切ないです。作者様は古いジュネと言いますが、とても良い作品だと思うのです。yoco先生のイラストも素敵だし、良く合ってます。
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