ボナペティ!
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ボナペティ!

月村奎/木下けい子

冷静な判断を超越する感動に襲われて泣ける

ネタバレ
2023年5月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 先生の作品は4作品(小説)と1作品(原作漫画)を読みましたが、どれも明るめで楽しくて、特に『初恋大パニック』が好きです。今回も今までの傾向から似たような雰囲気かと思って読み始めたら、いきなり涙涙の出だしで「あれ?」予想と全然違う感じでした。分かりやすい作品を例にだすと、おそらく誰もが知っている『フランダースの◯』のラスト、あんな感じです。もう泣けて泣けて…タオル片手に読んだのですが、メガネをかけているので涙を拭く為にいちいちメガネを外さなければならずで、涙と近眼とで全然ページを捲れませんでした。
私も人の親で子育てしていますから、世の中の仕組みはある程度知っています。だからそもそもの設定について「いやいや、だったら中学校から行政に連絡いくでしょ」とか「賃貸なら諸々の契約があるから、どう考えても中学生が1人で…とはならない」と、分かります。分かるんです、分かるんですが…冷静な判断をも乗り越えた感動に襲われるとダメですね。「完全に呑まれてる」自覚はあってもどうしようもなかったです。
最初の切なさを乗り越えてしまえば、後は割と楽な気持ちで読めました。ギリギリの生活で精神的にも肉体的にも削れて生死の狭間で繋ぎ止めていた葉が、色んな意味で生き返ったように元気に溌剌となる様子をほとんど親目線で見ていました。心が温かくなる素敵なお話でした。
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