この夏のこともどうせ忘れる
」のレビュー

この夏のこともどうせ忘れる

深沢仁/絵津鼓

なんか残る

ネタバレ
2023年5月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 5つの短編が入っています。どれも忘れられないようなお話。楽しいことよりも悲しいことや不思議なことのほうが忘れられないような気がします。
「空と窒息」は子供のころから夏になると何度か母親に首を絞められる男子高校生と学習合宿で同室になった男子高校生、「昆虫標本」は美しいハーフの兄妹に魅入られていく姉弟(対象はそれぞれ同性)、「宵闇の山」は幼馴染みで夏祭りの日に花火を見るために山に登るのが恒例の男子2人、「生き残り」は高校生活最後の恋愛をしたい女子と彼女に選ばれた男子、「夏の直線」は父親の所持する海に近いアパートに勉強を理由に泊まりにきた男子高校生と海で出会ったおそらく中高生くらいの男の子、ほぼ高校生で成り立っています。不穏なものが多かったです。「昆虫標本」は読んでいてゾクゾクしました。「生き残り」は泣けました。「夏の直線」はわからないことが多かったです。性的なお話もありましたが、BLってのではないです。
「どうせ忘れる」ってことは、これらはみんな一過性のことだったのかな。このまま繋がりを持っていてほしいと思う2人もいました。
これからどうなるの?ってところで終わっているので消化不良ではありますが、心を揺さぶられる短編集でした。
2019年7月 総202ページ 挿絵なし
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