このレビューはネタバレを含みます▼
被爆した経験は私にはないし、そのほかの大きな病気や怪我もまったく無縁なので共感できたとかよくわかるなんて軽々しく言えないけれど、二人の苦しみを少しでも和らげてあげたい。
それがユーリ、アンナお互いの存在で禁忌だとしても…現代でこそ許されない事だけど、数百年前なら普通にあり得た事…だから余計せつなさを感じてしまうのは私だけなのでしょうか?
私事ですが、子どもの頃、バレエや日舞を少しやっていました。 20歳前半で客演依頼なんて普通ではまずあり得ない事です。
それも取材されての今回の作者さんの作品は表ではバレエ界で脚光をあびるユーリが実はいかに被爆後の発病の可能性という後ろからずっと追いかけられている恐怖と深い闇、苦しみの大きさ、命の重さと時間との闘い等々裏の部分の本質をあらわされているのでしょう。
漫画家さんの絵も美しい、バレエ界の華やかさも美しい、ユーリを想うそしてアンナの心も美しい、何もかもに美しさや哀愁を感じさせてくれる作品です。
後半、元気だった頃のユーリの舞台を一度も観ようとしなかったアンナが、修道院をやめてまで初めて観た兄ユーリの舞台。
舞台上で倒れた後の異変に気付きユーリを抱きしめるーーやはり、二人は運命の人だったのか…と
私的にはラストがああいうぼかした感じがこの作品には良かったと思います。
日頃、当たり前だと思っていた健康であること、家族がいることの有りがたさを再認識させていただきました。
皆さんに是非読んで頂きたいと思いす。