キミとながい夜
」のレビュー

キミとながい夜

中込カスガ

静かで長い田舎の夜をキミと過ごすまで

ネタバレ
2023年6月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 夏の終わり、秋の初めに翻訳家の花本円が東北の田舎に引っ越してきます。喘息持ちの円は、かつての主治医がこの集落にいることとネット環境かあればできる仕事なので思い切って越してきたのでした。そこでマタギ兼JA職員の奥山平次と知り合います。二人で引越しの挨拶に回っている間に円の借りた家に熊が現れ、用心のために奥山が円の家に泊まることになります。身体が弱くて友達が泊まりに来ることの無かった円はテンションか上がり、奥山も、過疎化の進む集落に若者はおらず、長い夜を持て余していたと嬉しそうにするのでした。二人で乾杯したその夜、円の家に再び熊が侵入します。恐怖で動けなくなった円は、奥山の逞しく温かい腕の中で慣れない土地での初めての夜を明かすのでした。朴訥として優しい誠実さの塊みたいな奥山とピュアッピュアの年上美人•円が田舎の豊かな四季の中でゆっくり恋を育んでゆきます。マタギや翻訳の詳しいお仕事内容までは出てきませんが、微笑ましい二人のやりとりに癒されます。
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