このレビューはネタバレを含みます▼
いつか読んでみたいなと思っていた作者の新刊。表紙、内表紙に惹かれました。男性が妊娠できる今(生物学的な女性が男性として妊娠)、主人公 御門がsubだと自身を認め、家族、一族、更に社会を変えていくという物語は今らしなと思いました。
この作品のタイトルから、訴え方、うわべだけ、もしくは、rhetorical question答えの無い質問…等、ストーリーと合う様に色んな解釈をしましたが、それでもあの結末に辿り着く物語の流れは安易なのでは?と感じてしまいました。
dom subの世界ですが、性の自認、求める性活はその時の環境、パートナーなどでも変わりゆく事もあるのかなと(中には一生気付かない人もいるのかなと…)。この作品を読んで勇気をもらえたら良い事だけれど、その後やっぱりそうじゃなかったと、そう思うのもまた有りだよと、読了して付け加えたくなってしまいました。
また御門が受けた治療は、実際男性が女性に、女性が男性になる為に必要な、LGBTQ+側のホルモン治療と重なったり…そう思ったら生物学的には違う性自認だから受ける治療を、何故御門が親の為に受けるというシーンに使われたのかな?と。
多くの読者が感動する物語なのだと思いますが、作品のそんなアンバランスな部分…どこかLGBTQに関わる事柄を物語の中で物語の為に使われている様にも感じてしまって、うーん😩と。
そしてお婆様の御門への言葉。「伊達グループ(財閥)、何万人(庶民)の生活がかかっているのよ、」と。うーん…その言葉でdom至上主義を片付けてしまうのは安易だなと。現実は手数料等上がっている訳で。投資家や投資会社の為であると、お金の授業がある若い世代程知っている事なのかなと。
お婆様との話し合いも林くんとも綺麗にまとまって、最後のコマも完璧で…あぁホワイトだなと。10年下さい負けないからなと、皆んな最後は向かい合える優しい物語。私の世代なら感動してしまう内容ですが、ふと読みながら…この主人公 御門の、辛さ苦しさを運命の人と出逢い、また前を向いて努力する事で乗り越え目標を達成する…は現代のままならなさを痛感している若い世代にはどう映るのかな?と。(ひとつの感想として)