羊が一匹夢路はふたり[ペーパー特典付]
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羊が一匹夢路はふたり[ペーパー特典付]

百坂たまお

彼岸と此岸とその境界である夢の世界の物語

ネタバレ
2023年6月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 白沢海音は羊を数えて夢の世界へ行き、そこで数えた羊に囲まれて迷惑そうにする四之淵岬に会うのを楽しみにしています。本来生きている人間には夢の世界を操る力は無いのですが、生まれた時から病気がちで寝たきりのアマネにはその力がありミサキを惹きつけたのでした。夢荒らしの重罪人とミサキに言われて、夢の世界に来ないように頑張るとアマネが言って半年、たくさんの点滴台、りんご、羊がアマネの夢から溢れてきます。何か数えねばならないほど苦しんでいると察知したミサキはアマネを迎えに行きます。夢に現れるミサキは夢を喰う獏ではなく死神だったのです。死後の世界で三途の川のモテモテ渡守•四方十助、四方の花嫁に立候補するリコと出逢い、さらに夢魔や獏を交えて死後の世界の時間はゆっくりと過ぎてゆき、やがてミサキの前世と転生が訪れます。人は死ぬと夢を見ない、生きている時に見る夢は死後の世界に最も近いという世界観が面白く、ミサキとアマネの純愛、四方とリコのほのぼの愛も良きですが、絵とストーリーがごちゃごちゃしていてわかり辛いのが残念です。エロ無しで、茫洋とした水辺の景色、羊、彼岸花などのモチーフにとても雰囲気がありました。
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