山小屋にて
」のレビュー

山小屋にて

菅辺吾郎

卑屈な彼に共感が生まれる

2023年6月8日
全てをマイナスに考えてしまう山本。
「仕事がうまくいかなくて当たり前、疎まれて当たり前、自分はそんな人間だから」
自分でグズだと思っているところは慎重で丁寧な証しなのに。
山本のことを「卑屈な暗いやつ」とイライラする読者もいるかもしれません。
でも彼の劣等感を大なり小なりどこか共感する読者も少なくないのではないかとも思います。
真逆の人生を歩んできたであろうクマや同僚の日高さんが山本の良い部分にハッとしたように、一人でも多くの人が山本のことを理解して肯定してほしいなという祈りが生まれてくるような、そんなじんわりとくる作品です。
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