言ノ葉ノ世界
」のレビュー

言ノ葉ノ世界

砂原糖子/三池ろむこ

言ノ葉シリーズ(?)2作目

ネタバレ
2023年6月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作では突然「声」が聞こえるようになった主人公でしたが、今回は生まれつき「声」が聞こえています。

冒頭「声」を利用して賭け麻雀で儲ける仮原。
普通のギャンブル(競馬競輪等)では「声」は関係ありませんが、人が介在する麻雀はなるほどイカサマできますね。なかなか頭がいいw
そして「声」を利用して身寄りのないお年寄りから金品をいただく詐欺まがいの行為で、雑貨屋さんの店舗兼住居と経営権をゲット。

さすが生まれた時から「声」が聞こえているだけあって、自分の力を利用して儲ける能力が凄いです。
口絵の印象では完全にヤ○ザだったので、これらの行為も当然と思っていましたが、読み進めると遺産相続は単なる偶然の産物に過ぎなかったのかな? とも思われます。

結局お年寄りに優しい仮原がなかなか憎めない人物で、心の「声」と実際の声がほぼ同じな藤野と出会い、(本人はなかなか認めませんが)恋をしていく中で、どんどん可愛くなっていく様子がすごく良かったです。

砂原さんの年下攻め作品を3つ連続で読んでいますが、どの攻めもなんだか憎めない可愛さがあって好き。
その中でもこの作品の仮原が最高に可愛い。
膝枕からの犬になりたい的夢だとか、受けの物になりたいとか…。
見た目に反する可愛さが本当にヤバい(語彙力低下)

最後は泣き落とし展開で落ち着きますが、根本的解決ではないなと思ったのも事実。
そんな不満を続編では解決してくれています。

前作同様「声」が聞こえなくなる展開かと思いきや、こちらはずっと聞こえています。
「声」を聞いていることを知られたくない仮原が、聞こえない電話に縋ってしまうのがまた可愛い。

どんどん臆病になる仮原をしっかり受け止めてくれる藤野の潔さも良かったです。
声に出さなくても気持ちが通じていることを、「便利だ」と言ってしまえる彼の強さが仮原にはかけがえのないものだろうな、とほっこりするラストでした。

ただ、最初から登場していたホームレスの占い師が大切に持っていた携帯を川に捨ててしまう(結局捨ててはいなかったのですが)シーンだけは酷いな、と。
占い師にも最後幸せが訪れた感じのラストだったので良かったですが、ちゃんと携帯を返すシーンが欲しかったかな。
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