悪役令嬢は暗殺者を誘惑する
」のレビュー

悪役令嬢は暗殺者を誘惑する

せんりょう静/マチバリ

Web小説から

ネタバレ
2023年6月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自分の中ではTOP10に入るくらい好きでした。人間性の善悪に対して真理を突き、己の生を進むヒロインの崇高さに見惚れずにはいられません。そしてヴェラルテとノイン。真に肉体を結ぶ事なく、互いを縛り、精神的に離れられなくなっていく関係性は、恋や愛と呼ぶにはもっと濃く深い感情が澱のように沈み、層と成していく心。世間は「罪」と蔑み、いつ2人が共に破滅に堕ちていくのか、或いは救いはあるのか、読者として祈るようにエンディングまで読み進めた記憶があります。でも決して泥沼な鬱がメインではなく、丁寧で正統展開に、心踊る面白さもある。痛快でありながら、やはり何処かで2人の未来に不安を抱き続けてしまう読者の自分が居る。本当に2人が尊くて尊くて、一体この感情を何と呼ぼう? この心理的揺さぶりが上手な原作者さんだと思います。ですから、このコミカライズは…画風自体、合っていませんし、画力も華も足らない事が無念です。再三、痛感する事ですが、作画だけで人気が出る薄い内容の作品が多い中で、こうした重厚な物語の魅力が100%引き出されない出版は、不幸だと思います。
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