このレビューはネタバレを含みます▼
ずっとラブラブで仲睦まじくやってきた二人の日々を一気にぶち壊した夏樹の裏切り。
夏樹が先輩と浮気をしていたことを目の当たりにして、新はどれほどショックだっただろう。酷い目の前の光景に更に追い打ちをかけるような、大好きな夏樹の口から発せられた「顔忘れた」という、信じられない言葉。恋人である自分の存在を否定するようなその言葉が、どれほど新の心をズタズタにしたかと思うとやりきれない。
裏切った側の夏樹がなぜか被害者のように泣く仕草にもモヤモヤ。そもそも夏樹が泣いて取り乱したのは「新を裏切ったこと」への後悔よりも、「自分の裏切りを新に知られたこと」だと思うので。
二人の間をどんなに修正しようと、今回のことは何度も首をもたげて新を苦しめる気がするし、今回のことを引きずるのもまた新の方だろう。
やり直すと決めて距離をおいた二人が本当に試されるのはこれからだろうし、そここそを描いて欲しかったように思う。けれど新は夏樹ではない、別の誠実な誰かと出会って大事にされる道もあっていいと思う。浮気しなければ自分の大切さに気付かないような人よりは。